賃貸物件を借りる時、「いつ頃探せば良い物件を借りることができるのか?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。「賃貸を借りる時期」は、実際に僕自身が不動産の仕事をしていても友人やお客様からよく質問される話題です。
ですが実のところ、賃貸を借りる時に最適な「万能な時期」はありません。なぜならその時期によってメリット・デメリットがあり、あなたが何を求めるかによって最適な時期が違うからです。
そこで今回は賃貸専門の不動産屋である僕が、賃貸を借りる時期を3シーズンに分けて解説します。それぞれの時期のメリット・デメリットや、損をしたと後悔しないための知識も合わせてご紹介。
本記事であなたの目的に合った賃貸物件を探せるように、最適な時期を見極める知識を得てください。
目次
1.賃貸を借りる時にオススメの時期
せっかく新生活を始めるのだから「できれば良い物件に住みたい!」と思いますよね。ここではまず、あなたが思う良い物件を探すにはどの時期がオススメかをご説明します。
1-1.賃貸を探す最適な時期はあなたの目的によって異なる
本記事の書き出しでもお話しした通り、賃貸物件を探すのに「誰もが納得する一番良い時期」はありません。それは時期によって以下のようなメリット・デメリットが混在しているからです。
- 物件数が多い時期 ⇔ 金額設定が高くなる
- 物件数が少ない時期 ⇔ 金額設定が安くなる
あなたが賃貸物件を探す時の目的や、重視するポイントによって最適な時期が異なります。次からご紹介する各シーズンの特徴をしっかりとチェックして、あなたの求めることが叶いそうな時期を見極めましょう。
1-2.賃貸に最適な時期|各シーズンのメリット、デメリット
時期ごとによってどういったメリット・デメリットがあるのかを具体的にご説明します。費用の安さ、物件の条件等、あなたが重視したいポイントも考えながら読んでいただくと最適な時期が見えてきます。
はじめにお伝えしておきますと、基本的には次のような時にオススメです。
- 費用をできるだけ抑えたい → 夏(5~8月)
- 多くの物件から自分に合うモノを選びたい → 冬(1~4月)
- 新築物件も検討したい → 秋(9~12月)+冬(1~4月)
- 不動産屋さんに丁寧に対応してもらいたい → 夏(5~8月)+秋(9~12月)
賃貸の時期①|1月~4月のメリット
- 物件数が多い
- 新築物件が多い
まずは1月~4月、冬の時期のメリットです。4月は就職や進学等、新しい生活がはじまる季節。1年の中で最も引越しが多いシーズンです。賃貸に入る人も多ければ、出ていく人も多く、空き室も自然と多くなります。
4月に出ていく予定のある人は前もって大家さんにお知らせしていることも多く、まだ入居中であっても新たに募集するところが他の季節よりも増える傾向にあります。さらに引越しの需要に合わせて、新築物件の募集も多くなります。
新築物件については「2.新築賃貸物件の募集が出やすい時期」でも後ほど詳しく解説します。
賃貸の時期①|1月~4月のデメリット
- 家賃、敷金礼金などの金額設定が高い
- 不動産屋も忙しく対応の時間が限られる
- すぐ人気物件は無くなってしまう
- 引越し業者料金が通常の3、4倍程かかる
上のように1~4月は、引越しせざるを得ない人が多いため、その需要に合わせて金額設定を高くしている物件・引越し業者が多いことがデメリット。
物件を探している人が多いため、人気の物件はすぐに埋まってしまいます。不動産業者も対応に追われるので、ひとりひとりに対して丁寧に対応している暇がありません。良い物件を逃すとなかなか次が見つからず結果的に即決が求められる場面も多々あり、「結局内覧に行けたのは1件だけ」ということも充分あり得ます。
良い物件が出てきやすいメリットがある反面、デメリットもそれ相応にあるシーズンです。
賃貸の時期②|5月~8月メリット
- 金額設定が安い
- 不動産屋も比較的時間に余裕があるので親身になって相談に乗ってくれる
- しっかりと内覧をして検討する時間の余裕がある
- 引越し業者料金が安い
次は5~8月、春~夏の時期のメリットです。1~4月の冬シーズンで入居者を獲得できなかった物件は、5~8月、工夫をしなければ空き室状態が続いてしまいます。打って変わって引越しの需要が少なくなるので、上で挙げたように物件・引越し業者ともに金額設定を安くするのです。不動産屋さんも丁寧な対応がしやすくなります。
費用を抑えて、ゆっくり物件を探したい方には良いシーズンとなります。
賃貸の時期②|5月~8月デメリット
- 物件数が少ない(金額設定が安いので数は少ないが掘り出し物件はある時期)
- 夏に引越し作業をするのは暑い
- 新築物件が少ない
1~4月で大体の物件が入居されてしまうため、5~8月は空いている物件自体が少なくなります。引越しの需要も少ないため新築物件も当然少なくなる傾向に。また、夏なので引っ越し作業に暑さが伴います。暑いから肌の露出が多い服で作業をし、いつの間にか小傷だらけ、なんてことも。
ただ、物件数が少ないながら、掘り出し物の物件が出てくる可能性もあります。
賃貸の時期③|9月~12月メリット
- 新築物件が多い
- 金額設定もまだ比較的安め
- 物件数も夏に比べると多い
- 不動産会社もしっかりと相談に乗ってくれる
- しっかりと内覧に行き検討する時間的な余裕もある
9月に入ると、引越しの需要が戻ってきます。物件からの出入りも多くなり、前の夏シーズンよりも空き物件が増えてきます。1~4月に比べると引っ越しの動きは弱いため、上で挙げたような金額面・対応面でのメリットがあります。
段々と新築物件の募集もはじまります。
賃貸の時期③|9月~12月デメリット
- 繁忙期(1月~3月)に比べると物件数が少ない
特にデメリットというデメリットがない時期ではあります。強いて挙げるなら、1~4月と比べると物件数が少ないくらいでしょう。
1-3.どの時期でも良い物件が出てくる可能性はある
上でお伝えしたように、各シーズンによって物件数の多い、少ないはあります。
ですが季節柄、引越しが盛んな時期はあっても、人の出入りは常に行われているもの。良い物件は一年通してどの時期でも出てくる可能性があるのです。
1-3-1.「引越しがしたい!」と思ったタイミングも賃貸を借りる最適な時期のひとつ
単なる利益だけではなく、あなたが「引越しをしたい」と感じた時期に賃貸物件を探すこともとても大切です。
自分の住むところを探して新生活をはじめるわけなので、一定以上のモチベーションがなければ
「結局、引っ越しは先延ばしにした」ということにもなり兼ねません。やはり「引越しがしたい」という意欲が出たら、探し始めると良いでしょう。
2.新築賃貸物件の募集が出やすい時期
新築物件に住みたい!と言う方も多いはず。特に女性は綺麗なキッチンやお風呂・トイレなどに憧れを抱いている方も多いと思います。
そんな新築物件が募集に出やすい時期というのは存在します。
2-1.新築の賃貸物件が募集しやすい時期は秋と冬
ズバリ!新築物件が出やすい時期は以下の2シーズン。
- 秋(9月~12月)
- 冬(1月~4月)
1年の中でも募集のサイクルはある程度決まっています。新しく物件を建てる家主さんもおおよそ秋と冬に募集をかけられるように考えて、予定を組んでいます。
2-1-1.秋と冬は探している人が多い時期なので新築が募集される
秋と冬に新築物件の募集が増える理由は、すごく単純。探している人が多いからです。秋(9月~12月)は転勤や異動の時期なので、一年の中でも2番目の引越しシーズンと言われています。
また冬(1月~4月)は4月の新生活に向けて部屋を探している方が多い、一番の引越しシーズン。家主さんも需要に合わせてマンションを建てる時期ですが、満室にならないとせっかく新築を建てた意味がありません。ガボッと家賃が入るように、新築物件の完成と同時に満室にしたいのが当然の考えでしょう。
ですので新築物件を建てても満室にしやすいように、引越しの需要が増える秋と冬(9月~4月)に募集をかけやすいのです。
2-2.好条件の賃貸は新築に多い
既存物件と新築物件を比べた場合に「金額的な条件で新築物件の方が安い!」ということが最近あります。築年数が10年の物件よりも、新築物件の方が家賃・敷金・礼金も安いことも多いのです。
それは新築物件を完成と同時に満室にしたいので、一番初めの募集時だけは満室になる様にとキャンペーン価格として安く設定する物件があるため。
なんとなく「新築 = 費用や、入居の敷居が高い」と考えて選択肢から外してしまっている人もいらっしゃるかもしれません。新築もしっかりチェックすることで、メリットがあります。
3.引越しについて|部屋探しを開始するタイミング
賃貸物件を探す時期のお話をしてきました。実際に引越しをしたい!と考えた時の参考に、引越しについても少し書いておきます。
3-1.引越しの2ヶ月前には部屋探しを開始する
賃貸物件を探し始める時期は、実際に入居をしたいなと思っている時期の約2ヶ月前から始めることをオススメします。
1ヶ月前からだと、内覧から契約、入居までの時間が短いためしっかりと検討をすることが難しい場合があります。2ヶ月程前から探し始めれば、実際に室内の内覧にもしっかりと行くことができ、検討をした上で気に入る物件に住める確率が上がります。
3-2.引越しは1月~3月が繁忙時期
引越しの繁忙期にお部屋を探すと、物件数も多いというメリットがあります。ですが物件を探している需要があるなら、少しくらい金額設定を高くしても借り手がつくだろうと家主様は考えます。
初期費用を抑えて引っ越したいと考えている場合。どうしてもその時期の引越しと言うことでなければ、1~3月とは別の時期に探す方が初期費用を抑えられる可能性が高まります。
もちろん繁忙期であっても初期費用安めの物件もあるので「その時期に引越したいんだ」という方であれば、その時期でも問題はないでしょう。
4.賃貸を借りる時に損をしない知識
賃貸を借りる時に損はしたくないですよね。実は賃貸を借りる時には知らないと損をしてします事もあるのです。
その知識があるか無いかによって全然違ってくるので、その事についてご紹介します。
4-1.仲介手数料が少ない業者を探す
仲介手数料は不動産屋さんによって違うとご存知でしたか? 一般的によく街で見かける不動産屋さんの仲介手数料は家賃の半月~1ヶ月分ほど。
この仲介手数料は、選ぶ物件によって決まっているのではなく、それぞれの不動産屋さんが決めているのです。だから少しでも初期費用を抑えたい方は、仲介手数料が少ない業者を選ぶことがポイントです。
4-1-1.見られる賃貸物件はどの不動産会社に行ってもほとんど同じ
会社によって仲介手数料が違うということはご説明しました。
すると「仲介手数料が安い業者だと取り扱いしている物件が少なそう…」と考える方もいるかもしれません。しかし全くそんなことはないのです。
不動産会社は現在「近畿レインズ」という国土交通省が整備している情報の共有ネットワークサービスを利用しています。そのため、実はどこの不動産会社に行ったとしても取り扱いしている物件というのはほとんど同じ状況なのです。
4-2.交渉をして家賃の二重払いを防ぐ
引越しをする時にはどうしても今住んでいるお部屋と、新しく契約するお部屋の家賃が被り、二重で発生してしまいます。仕方の無いことではあるのですが、それを少しでも減らす対策として以下の方法があります。
- フリーレントをつけてもらう
- 家賃発生日を被りが少ない様に設定してもらう
フリーレントとは入居後一定期間の家賃が無料になるシステムのことです。あなたが利用している不動産会社の担当者にその意向を伝えて、少しでも負担を減らせる様に一度相談をしてみてください。
まとめ
今回、賃貸を借りるオススメ時期という内容で書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。ご説明したように、一概に「この時期が一番良い!」とは言えません。
ですが本記事でご紹介したシーズン毎のメリット、デメリットから、あなたの求めることに最適な時期が見えやすくなったのではと思います。もう一度まとめてみますと以下の通りです。
- 費用をできるだけ抑えたい → 夏(5~8月)
- 多くの物件から自分に合うモノを選びたい → 冬(1~4月)
- 新築物件も検討したい → 秋(9~12月)+冬(1~4月)
- 不動産屋さんに丁寧に対応してもらいたい → 夏(5~8月)+秋(9~12月)
(良い物件は季節を問わず出てきますので、どうぞ参考程度に)
またメリット・デメリットを知ることは大事ですが、「引越しをしたい!」と思ったタイミングも大切です。ご自身のお気持ちともしっかり向き合うと良いでしょう。
この記事が少しでもお部屋探しをしている方や、悩んでいる方のお役に立てれば幸いです。最後まで読んで頂きありがとうございました。